中津事務所

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社会保険・労働について

高齢者医療制度の今後と国保の広域化 VOL91 2010.12.13
昨年11月に厚生労働省に設置された「高齢者医療制度改革会議」において、「後期高齢者医療制度」に代わるこれからの高齢者の医療保険制度と、今後の国民健康保険の広域化について議論されています。

新制度の検討

見直しを余儀なくされている後期高齢者医療制度ですが、現在は、今後、どのような制度がよいのか 議論が進んでいるところです。「高齢者医療制度改革会議」(以降「同会議」と表記)では、新制度のデザインが提示され、平成22年中に最終報告案を決定。来年以降は国会での議論が進んでゆく予定です。
平成25年3月新制度スタートの計画ですが、与党内や知事会等でも様々な意見があり、これからの議論が新制度をつくってゆくことになりそうです。


新しい高齢者医療制度は?

同会議が提示した今後の高齢者医療制度の概要です
●75歳以上も従前の制度(職場の健保か市町村国保)に加入
→保険証の切り替えがなくなる
●75歳以上の国保の運営主体を市町村から都道府県に広域化
→保険財政の安定化
→同一県内であれば同じ保険料
●国保に移る75歳以上の保険料の伸びが現役世代を下回るように措置する
 →保険料負担増への配慮 
国民健康保険の広域化

同会議では、高齢者医療制度の今後のあり方に加え、市町村が運営する国民健康保険の広域化の方向性を明確に打ち出しました。様々な問題のある後期高齢者医療制度ですが、それまでは市町村ごとにバラバラだった保険料を都道府県単位に均一化したという方向は、保険料負担の公平の確保という意味で、私は間違ってなかったと考えます。12月議会で、国保の広域化のメリットについて市長の考えを問いましたが、保険財政面でもプラスだとの答弁でした。 

不公平の解消が必要

同会議が提示した案では、将来、国民は、全年齢にわたり、都道府県単位の国保か、職場の被用者健保に加入することになります。市町村で保険料が違うという不公平は、ある程度解消されますが、被用者健保と国保の格差は残ります。現在、被用者健保の被扶養者は、被保険者(働いている人)が離職したり、離婚をしたりすると国保に加入することになり、保険料負担が増えてしまう という問題があります。私はさらに一歩進め、被用者健保も含めた健康保険一元化を見据えた議論をすべきだと考えます。
国民年金「第3号被保険者」をめぐる諸問題 VOL89 2010.11.15
主に会社員や公務員に扶養される配偶者が該当する国民年金「第3号被保険者」。実は、手続き上の問題点や制度上の不公平感といった様々な問題が内在しています。

「第3号」制度の概要

国民年金では、自営業や無職の方は第1号、会社員や公務員で厚生年金や共済年金に加入している方は第2号、第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)が第3号被保険者になります。一般的には、会社員の妻で、専業主婦かパート程度の収入しかない方が第3号に該当します。(本レポートでは夫=会社員、妻=専業主婦という前提で記載します)
第1号被保険者は毎月約1万5千円の保険料、第2号被保険者は報酬に応じた保険料を負担しますが、第3号被保険者は保険料の負担はありません。第2号被保険者全体で、配偶者分の保険料も負担しているという考え方です。年金額は第1号被保険者と同じです。 

手続は

第3号被保険者への加入手続きは、夫の職場を通じて行いますので、自分で役所に足を運ぶ必要はありません。夫が退職した場合や離婚した場合は、第3号から第1号に変更となりますが、第1号被保険者となる手続を行う必要があります。手続き先は市役所の国民年金担当部署です。 

届出漏れに注意!

しかし、夫が退職したり離婚したのに第1号への変更手続をせずに、第3号被保険者のままになっているケースが、推計で45万人にのぼることが厚生労働省から発表されています。この場合、本来は、第1号被保険者として保険料を負担すべき期間ですので、「未納」扱いとなってしまいます。年金額が少なくなったり、年金額を減らさない為には、あとでまとまった金額の保険料を納付する必要があります。 

保険料負担の不公平1
第3号被保険者には保険料負担はありませんが、同じ専業主婦でも第1号被保険者の妻は、定額の保険料を負担する必要があります。また、母子家庭の母親も第1号もしくは第2号被保険者として保険料を負担する必要があります。夫が会社員でなくなったり、離婚すると、一般的には収入減となるケースが多いですが、逆に年金保険料の負担が増えるという問題があります。免除制度も利用できる可能性もありますが、同じ保険料負担なし期間でも、免除と第3号では年金額に倍以上の差があります。 

保険料負担の不公平2

国民年金第1号被保険者は20歳から60歳に到達するまでが被保険者期間ですが、第3号被保険者も同じです。ということは、第3号被保険者で受給資格期間が25年に足りず、年金受給の為、引き続き被保険者として加入する場合は、任意加入被保険者となり、定額の保険料を支払う必要があります。今まで保険料なしだったのが、60歳を過ぎて払うというのは、かなりの負担感になります。 

不公平の解消を!

第3号被保険者をめぐる最大の問題点は「不公平」にあると考えます。特に、比較的安定した会社員・公務員世帯の配偶者よりも、自営業・無職世帯の配偶者、母子家庭の母親の保険料負担が多いことは早急に改めるべき課題です。年金改革の議論が、なかなか進まないのは歯がゆい限りですが、第3号被保険者問題は、最優先課題の一つであると、私は考えます。
 
「年金」=「老後」だけではない 国民年金納付率について VOL.85 2010.9.6
平成21年度の国民年金第1号被保険者の保険料納付率は、8月5日の厚生労働省発表では過去最低を更新し60%を割る結果でした。三鷹市議会9月定例会一般質問で、保険料納付率と免除申請について質問しました。

納付率 59.98%

厚生労働省の発表では、平成21年度の国民年金第1号被保険者(主に自営業者、無職・フリーターの人が加入)の保険料納付率は、60.0%となっておりますが、小数点第2位まで算出しますと59.98%となり、納付率は60%を下回ったことになります。

納付しない理由ですが、2番目が「年金制度の将来が不安・信用できない」で14.3%、1番目が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」というもので実に64.2%です。

第1号被保険者について加入者の所得水準が低いことが納付率低下の原因であることは、今年3月に公表された平成20年国民年金被保険者実態調査でも明らかで、第1号被保険者本人の年間所得平均は133万円、滞納者平均113万円、納付している人の平均も178万円にとどまります。職業をみても、6割近くが、非正規雇用か無職で、低所得者にとって1万5千円近くの定額の保険料負担が厳しいのは明らかです。

年金=老後だけではない

私は、社会保険労務士として年金の相談や講演をするときに、いつも声を大にして言っていることがあります。それは 年金=老後 だけではなく、障害年金や遺族年金で今の生活を支えているという一面があるということです。

過去の被保険者期間3分の2以上保険料を負担していない場合、「障害年金」「遺族年金」は、死亡時や障害原因傷病の初診日に、過去一年間、保険料に未納があれば年金給付が受けられません。「年金制度が信頼できない」という理由で保険料未納の方がいますが、そういった方は、病気になり障害が残ってしまった、家族を残して亡くなってしまったという時に公的年金が受けられなくなる可能性がある訳です。

尚、過去1年間に保険料未納があれば年金給付を受けられなくなる可能性がありますが、免除申請をしておけば、過去の保険料納付の判断においては納付期間と同様に扱われます。障害、遺族年金が未支給となる確率はかなり少なくなります。

効果的な広報を

免除申請は市の窓口で行います。ここ数年の免除申請件数の推移を市議会で質問しましたが、ここ2年間で415件増と一定の広報の成果は得られているようです。

免除申請でわかりにくいのは基準が、世帯単位の「所得」である点。収入はわかっても所得はわからないという方は多いと思います。

国民年金の全額免除申請は単身世帯で所得57万円以下の被保険者が対象となりますが、個人市民税や国民健康保険税の通知書には免除の基準となる前年の所得が記載されています。個人市民税や国保税の通知と合わせて、免除申請の広報を行う等、よりわかりやすく効果的な広報を行うよう市に提案しました。尚、リストラ等、非自発的離職をした場合は、前年所得にかかわらず免除申請が可能になります。 

 
公的年金への上乗せ策を考える 実はすごい「付加年金」 VOL.82 2010.7.26
老後の生活を支える「公的年金」 しかし、公的年金だけでは生活がかなり厳しいのが日本の年金制度です。
年金生活に入る前に、公的年金への上乗せ策を考えておく必要があります。

「厚生年金」の実情

会社員が加入する厚生年金の平均受給額は厚生労働省の発表によると月額約16.5万円。会社員の夫と専業主婦の妻という世帯での年金額は、妻の基礎年金を含めて月額20万前後が平均的な年金額と考えることができます。夫婦で20万円であれば、生活を切り詰めればギリギリなんとか生活してゆけるレベルでしょう。経済的ゆとりのある生活を求めたら、厚生年金への上乗せを考える必要があります。

生活できない「国民年金」

自営業者の場合、国民年金のみの加入であれば年金額は満額で月額約6万6千円。妻の年金を加算して月額約10万円程度。都市部での生活はかなり厳しいです。

第一号被保険者のみの世帯は国民年金の上乗せを準備しておかなければ、老後の生活はできないというのが現実です。将来に向けての年金制度改革の議論はもちろんですが、基礎年金だけでは老後は生活できないという現実をもっと国は国民に告知してゆくべきだと思います。

国民年金基金
第一号被保険者向けに用意されている公的年金への上乗せ制度として「国民年金基金」があります。掛金は自分で選択可能で、40歳男性の場合、最低月額10200から68000円まで、年金タイプと口数を調整して掛金を自分で設定します。
国民年金基金のメリットして
1.国の制度なので安心である
2.掛金が全額、社会保険料控除の対象となるので、民間の保険商品と比べ節税のメリットが大きい。
ということがあります。
※問い合わせは東京都国民年金基金 03-5285-8800まで

付加年金とは

付加年金とは、毎月支払いをしている国民年金保険料に400円をプラスして払うものです。将来年金を受給する際には、200円×加入月数が一年分の年金額に加算されます。わかりやすく言えば‥400円を1年払えば、2年間年金を受給すれば元をとれる計算になります。そして10年間年金を受給すれば払った金額が5倍になります。金額は小さいですが、大きく増えて戻ってくる仕組みです。

窓口は市役所

付加年金の手続は市役所の年金係で行います。但し、付加年金は国民年金基金加入者、第2・3号被保険者、保険料免除中の方は利用できません。また、年金を受給する前に亡くなってしまったら、かなりの部分が掛け捨てになってしまうという一面もあります。しかし、国民年金保険料をまじめに納付していて、何も年金の上乗せ対策を行っていない人にとっては、かなり有効な上乗せ策でしょう。

営業担当とのつきあい方

厚生年金に加入されている方は、主に、民間の保険・年金商品等から上乗せ策を検討することになりますが、民間業者の営業担当と賢くつきあうには、公的年金の知識がきちんとあるかどうか?を見極めることがポイントです。公的年金から支給される額を知っていなければ、その人に本当に必要とされる上乗せ額を正確に算定できない訳ですから。十分な知識がない営業担当からは、必要でない商品まで薦められる恐れありです。
 
年金相談の現場から 3 VOL.80 2010.5.31
新たな年金記録回復基準の追加

年金記録におかしな部分を発見し、第三者委員会へと申し立てを行った場合、記録回復に非常に時間がかかることが問題になっていました。そこで、記録回復の迅速化の為、新たな基準が設けられました。

年金記録回復の流れ

過去の自分の年金記録に、記録が抜けていたり、報酬額が著しく異なっている等おかしな部分がある場合、まず最初に、年金事務所(旧社会保険事務所)にて記録の照会をかけます。この時点で、データが確認できれば、そのまま正しい年金額での再裁定請求手続に入るのですが、年金事務所で該当するデータが確認できない場合は、年金記録第三者委員会に申し立てることになります。

長すぎる「時間」

第三者委員会に申し立てた場合、実際のところ半年から1年近く、あっせん(第三者委員会の結論)が出るまで時間がかかり、正当な年金額を受け取るまで時間がかかりすぎることが問題になっていました。私が、相談を受けたケースでも最初に相談を受けてから正しい年金額が振り込まれるまで3年近くかかったケースもあります。
既に年金を受給されている高齢者の場合、調査中に体調を壊して寝たきりになってしまったり、亡くなってしまう という事例も多く耳にしました‥

記録回復の迅速化

政権交代後、記録回復の迅速化を進めるため、過去の調査事例から「ほぼ明らかに」記録が間違っている事例においては、以下の新たな基準に基づき、第三者委員会を経なくとも、年金事務所で記録の回復ができるようになりました。

1.厚生年金 ~標準報酬月額の改ざんの疑い~ 

・6か月以上さかのぼって標準報酬月額が大きく引き下げられている記録が事実に反していると疑われる等の条件を満たす場合。
→いわゆる「消された年金」です。

2.厚生年金 ~脱退手当金の誤った支給記録~

・昭和49年まで発行されていた厚生年金の被保険者証に、脱退手当金を支給した表示がないなどの条件を満たす場合
・脱退手当金の支給日より前にその計算基礎にされていない厚生年金の期間があるなどの条件を満たす場合
→厚生年金には過去に女性には「脱退手当金」という制度がありましたが、脱退手当金の記録ミスも多く確認されていました。

3.国民年金 ~2年以下の記録もれ

保険料納付記録がもれていると思われる期間が2年以下であって、その他の期間は納付済みであるなどの一定の条件を満たす場合
→きちんと払っているのに、短期間だけ何故か未納となっているようなケースが該当します。

この他に、確定申告書で社会保険料の支払が確認できる場合や、事業所が廃止された後に厚生年金の加入記録が遡って変更されている場合などの回復基準があります。

年金遅延特別加算金

年金記録が訂正され、本来の支給日より大幅に遅れて支払われた場合、物価上昇相当分を加算金として支給する法律が4月に成立しました。加算金を受け取ることができる見込みの方は平成22年度で330万人になります。当然と言えば当然の制度ですが、やっと実現したという思いです。

 
失業中の国民健康保険 VOL.78 2010.4.26
減免措置と法・条例改正の概要

3月の市議会で、国の法改正を受けて、三鷹市が運営する国民健康保険の条例改正案が可決されました。 失業中の国民健康保険税が減免となる制度が4月よりスタートします。

条例改正の概要

自営業者や無職の方、また、会社の健康保険制度に加入していないアルバイト・パートの方は、市町村が運営する国民健康保険(以下、国保と表記)に加入することになります。国保の保険料(保険税)は、収入に関係なく人数によって決まる「均等割」と収入に応じて決まる「所得割」によってなりたちます。
3月の議会で可決された条例案で、均等割の年額が24700→28200円と値上げとなりましたが、失業者向けの保険税減免制度の新設、低所得者向けの減免制度の拡大が盛り込まれました。

保険税の仕組み

国保の保険税・所得割は、前年の収入によって決まります。前年の年収に対して、今年4月から来年の3月までの保険税が決定されます。会社員が失業した場合には、在職中の高い収入を基準に保険税が決定される為、失業中の保険税の負担感はかなり重くなります。例えば、今年2月に解雇された場合、来年の3月まで在職中の高い収入に応じた保険税を払うことになります。

失業者向けの減免制度

今回の条例改正で、解雇など「非自発的な離職」をした方の保険税については、「年収を30%」とみなして所得割額を算定することとなりました。
年収500万円の会社員の場合、従来であれば所得割の年額は也184670円でしたが、減免措置により41772円となります。

雇用保険書類が必要

上記の失業者向け減免制度の適用を受ける為には、雇用保険の書類で、失業が「非自発的」であることの証明をする必要があります。自己都合の退職は対象になりません。但し、会社から辞めるように働きかけられて辞表を書いたというようなケースは「退職勧奨」と言い、会社側都合による離職となります。もし、退職時に単に「自己都合」とのみ雇用保険書類に書かれていたら、ハローワークにて、会社から辞めるよう働きかけられた旨、申し出てください。また、週20時間以上働いているのに、会社が雇用保険に加入させてくれなかった場合は、過去に遡って雇用保険被保険者になることが可能です。(私も社会保険労務士として対応可能ですので、相談ください)

任意継続との比較

退職後の健康保険は、従来の会社の健康保険に引き続き加入する「任意継続健康保険」か、市町村の国保を選択することになります。今回の条例改正で、非自発的な辞職の場合は、国保を選択した方が、保険料に関しては得をするというケースが増えるでしょう。但し、一般的に「給付」は会社の健康保険の方が手厚いですので、病気療養中の方は、給付とのバランスも考慮する必要があります。

低所得者向けの減免

今回の条例改正で、低所得者(世帯所得33万円以下)への減免が6割→7割に拡大。また、所得が33万円+加入者1人あたり35万円以下の世帯には2割減免の制度が設けられました。逆に、高所得者には、課税上限(保険税の上限)が53万円から63万円(平成22年度は経過措置として59万円)に引き上げられました。
 
改正労働基準法の概要 VOL.77 2010.4.12
60時間超は50%以上

労働基準法では、法定の労働時間(1日8時間1週40時間)を超える残業について25%以上の割増率で残業代を払わねばならないことになっています。今回の法改正では、1月に60時間を超える残業については、50%以上の割増率で残業代を払うよう定められました。従来25%で良かったのが、60時間を超える分の残業については、50%以上となるよう上乗せする必要があります。さらに深夜時間帯(夜10時~朝5時)に勤務させた場合は、50%+深夜割増25%で75%の割増賃金の支払いが必要となります。

ただし、中小企業は例外

月60%を超える残業→50%以上割増について、中小企業は3年間の猶予措置があります。中小企業は、以下のいずれかを満たす会社です。
※従業員が多くても資本金によっては中小企業と扱われることがあります。

資本金従業員
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他1億円以下300人以下


1月45時間超も努力義務

今回の法改正では月60時間超の残業だけでなく、月45時間(厚生労働省が定める基準の時間)を超える残業についても、「25%を超える率」とする努力をするよう定められました。あくまで「努力義務」なので、強制力はありませんが、月45時間を超える残業について、労使で割増率を協議し、協定に明記する必要があることから、25%を上回る率としている企業が多いようです。前述の60時間超の規程と異なり、中小企業も関係なく適用されます。

時間単位の有給

有給休暇についても、労使で協定を結べば、1年に5日以内に限り「時間単位」での取得を認めるという規程も新設されました。既に時間単位の有給取得を認めている企業もありますが、4月からは国で定めたルールによることになります。時間単位の有給を導入する場合は、いずれの時間帯でも従業員が有給をとれるようにしておく必要があります。(例えば、勤務時間のまんなかで中抜けのような形での時間有給の取得を認めないというルールは×です)

長時間残業の抑制

今回の法改正の背景は、ずばり「長時間残業の抑制」と「ワークライフバランスの実現」です。月60時間を超える残業について、重い割増率が設定されたことは「従業員をそんなに長く働かせるな」という国の強いメッセージであるともいえます。
従来、労災の認定にあたり残業と疾病の因果関係については月平均80時間以上の残業かどうかというのが、基準となっていましたが、今後、残業月60時間を超えているかどうかも一つの基準となるでしょう。ですので、月60時間超の規程は中小企業は猶予ありといっても、60時間を超えないような勤怠管理を求められるのは言うまでもありません。労働者の側としても、残業60時間を超えたら心身に危険信号だという認識で、働き方を調整したり、会社に職務内容や職責の調整を交渉する等した方が良いでしょう。
 
年金相談の現場から 2 VOL.72 2010.1.25
第三者委員会・厚生年金保険料編

「会社に勤めていたのだけど、記録を確認しても、その会社の記録が見当たらない…」として、年金記録確認第三者委員会に申立てを行うことがあります。しかし、認められる為には、大きな壁があります。

過去の職歴を確認

「ねんきん定期便」等で、過去の年金記録を確認し、働いていたのに記録がない会社がある場合、まずは年金事務所(旧社会保険事務所)に照会をかけます。私の経験では、この時点でかなりの確立で過去の記録は出てくるのですが、それでも出てこない場合は、第三者委員会に申立てをするという流れになります。

記録がない「原因」

以前は、旧姓時代の勤務先の記録や、読み仮名が間違えて登録されていた記録が、宙に浮いた状態であったケースが多かったですが、記録確認作業の進展で、このようなケースはかなり少なくなってきました。現在、第三者委員会に申立てをしている事例では、
■保険料を控除されていたが、会社が手続や支払をしてなかった。
■入社後一定期間を試用期間として社会保険に加入させてなかった。(1~2年の長期間を含む)
■会社が、そもそも社会保険に加入していなかった。
■本人の勘違い
と推測されるようなケースが目立ちます。

「保険料控除」の壁

第三者委員会では、あっせん(第三者委員会の結論)事例を公開していますが、厚生年金の加入記録に関する申立てでは「会社に在籍していた事実は確認・推測できるが、申立て期間について、厚生年金保険料を給料から控除されていた事実を認めることはできない」として、本人からの申立てが認められないケースが目立ちます。

厚生年金は、報酬(給料額)によって保険料が決まり、負担した保険料に連動して年金額も決まってくるので、仮に会社に在籍していたことが証明できても、保険料控除の事実が証明されなければ、年金額も決められないので、申立て期間は「空白」ということになってしまうのです。ですので、厚生年金の加入期間についての申立ての際は、いかに保険料の控除を証明できる証拠を用意できるかが、ポイントになります。

一方、保険料を控除されていたが、会社が手続・支払いをしていなかったケースでは、保険料の控除が証明されれば、申立てが認められた事例は多くあります。

救済の必要性

試用期間だから、会社が社会保険に加入させてなかったようなケースは、本人の責任というよりは、かなりの部分、会社の責任といえるでしょう。

保険料を控除されていなかった期間について、年金額に反映されないだけでなく、その期間が原因で加入期間が25年に達せず年金の受給権がないという相談は、本当に気の毒です。

鳩山首相が25年要件の見直しを国会で表明しましたが、25年要件を見直す、また、会社の都合で「空白」となっている期間については、年金額には結びつかないが、年金加入期間としては認める期間(カラ期間)とする等の救済策が早急に必要であると考えます。
 
年金相談の現場から 1 ■第三者委員会・国民年金編 VOL.702009.12.21
空白の2年間

今から3年前、私・浦野は社会保険労務士として、ある年金相談をお受けしました。

相談者は、既に年金を受給されている方。「自営業の期間が長く、その期間は、きちんと保険料を払ってきたつもりなのだが、社会保険庁から送られてきた過去の記録をよくみたら2年間だけ未納の扱いになっている。社会保険事務所に行って相談しても、納付の記録はないと言われた。」といった相談でした。

自営業なので、事業がうまくいってない時期や自身が病気の時に払っていなかったのではないのかと確認しましたが、未納となっている2年間は、事業も順調で、病気や怪我などの記憶もないとのこと。私から見ても、記録が不自然に思えたので、後日、社会保険事務所に同行しました。  

社会保険事務所では、過去の台帳のマイクロフィルム画像等を見せてもらいましたが、やはり、空白の2年間は「未納」でした。 

新事実発覚!

私が、それでもおかしいと感じたのは、その空白の2年間の間に「保険料免除」の期間が含まれていたからです。
保険料免除は、収入が一定額以下でなければ、対象となりませんが、空白の2年間は、その前後の期間を含めて、事業は順調で病気などの事実もないので、免除の対象となること自体が不自然なのです。

改めて、社会保険事務所の職員に食い下がり、免除の申請書の原本はないのか確認したところ、ないとの返事。
それでは、その前後に何らかの届出は提出されてないのか?と確認したところ、何故か「氏名変更届」が提出されているという事実が発覚。 (私の名前に例えたら「英樹」という名前のふりがなを「ひでき」から「えいじゅ」に変更するといった変更でした。)

相談者に確認しても、その時期に氏名や読み方を変更した事実はないとのこと。誰かが、意図的に氏名変更届を提出した可能性が大きいと判断して、早速、発足したばかりの年金記録確認第三者委員会に申し立てをしました。 

第三者委員会の判断

第三者委員会に申し立てするにあたり、領収書・家計簿といったお金を払っていた直接の証拠はないので、当時の写真や地元の新聞に掲載された記事など、事業が順調であった状況証拠を提示し、また、氏名の読みがなを変えた事実はなく、第三者が氏名変更届を提出した可能性が高いといったことを主張しました。 調査結果の通知が来たのが約10ケ月後。結果は「空白の2年間は納付していた可能性が高い」というものでした。ちょうどその期間に、相談者の住んでいた地域で、保険料を横領していた事実があったとのことでした。

今回紹介したケースでは、本人が気付いたので、訂正に結びつきましたが、保険料納付の状況を、本人が随時、きちんと把握できる仕組みが重要である と改めて感じました。
 
求職中の訓練・生活サポート VOL.69 2009.12.7
訓練・生活支援支給金

従来、失業保険を受給する資格がない方、失業保険の給付(求職者給付)が終了した方には、生活や求職活動を支援する公的な給付は、生活保護以外に、ほとんどありませんでした。 
雇用悪化の長期化を受けて、本年7月末より、失業保険を受給できない方に向けて、ハローワークのあっせんにより職業訓練を受講する場合、訓練期間中の生活保障としての「訓練・生活支援給付金」制度が始まりました。

給付金 + 貸付金 

職業訓練を受講している間、毎月以下の金額が支給されます。
・被扶養者のいる方…12万円 
・上記以外の方   …10万円 
(受給期間最長2年)
給付金に加え、所定の審査の上、貸付制度を利用することも可能です。(訓練・生活支援資金融資) 
  金利3%、貸付上限額は↓
・被扶養者のいる方…月8万円 
・上記以外の方   …月5万円 
訓練修了後、6ケ月後までに6ケ月以上の雇用が見込まれる就職をした場合は、貸付額の50%相当額の返済が免除されます。

給付金の支給対象

給付金の支給対象となるのは、以下の「全て」の条件に該当する方となります。
1.ハローワークのあっせんを受け対象の職業訓練を受講
2.雇用保険の求職者給付、訓練手当等の給付を受けられない方
3.世帯の主たる生計者である
  (前年の状況により判断)
4.申請時点で年収見込200万円以下、世帯全体の年収見込み300万円以下
5.世帯全体の金融資産800万円以下
6.現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない

受給までの流れ

1.ハローワークにて求職申込み
2.ハローワークにてキャリアコンサルティングを受け、職業訓練のあっせんを受ける
3.申請書、確認書をハローワークに提出

※再就職の為に、訓練が必要ないとハローワークが判断した場合には、希望した職業訓練を受けられない場合があります。
また、訓練の受講に際し、一定の選考(面接や筆記試験)が行われることもあります。 

市は積極的に広報を!

12月の三鷹市議会定例会、市政に関する一般質問で、私・浦野は「不況下における職業生活支援について」というテーマで質問しました。今回のレポートでは、求職者向けの制度を紹介させていただきましたが、事業主向けにも、中小企業緊急雇用安定助成金や若年者等正規雇用化特別奨励金など、雇用の維持・拡大に有効な助成制度はたくさんあります。

質問の中で、国が行う各種助成・融資制度についても、市は積極的に広報に努めるべきと訴えました。生活に身近な市が、効果的な広報を行うことで、制度を知らずに利用できないという方を減らし、地域の経済や雇用を好転させることができるからです。三鷹市でも様々な生活支援、起業支援、中小企業支援を行っていますが、有機的に連携させつつ広報を充実させてゆきたいとの答弁でした。
 
病気休職中の社会保険 VOL.66 2009.10.12

傷病手当金の概要

会社員で健康保険(組合健保、協会けんぽ、共済組合)の被保険者となっている方が、個人的な病気や怪我で働くことができなくなった場合、「傷病手当金」という給付を受けることができます。

  1. 1.金額 休業1日につき

【標準報酬日額の2/3】
標準報酬日額というのは、わかりにくいかも知れませんが、休んだ期間、おおよそ給料の2/3が健康保険から支給されると理解していただいて問題ありません。
(但し、賞与については対象外)
休業期間中、給料の一部が支払われた場合、支払われた給料(日額相当分)と傷病手当金の差額が支給されます。よって、休んだ期間に2/3以上の給料が支払われている場合は、傷病手当金は受給できないことになります。(有給休暇を使用する場合等)

  1. 2.支給条件
連続3日間、病気や怪我で働くことができない状態であることが必要です。4日目の休業から支給対象ですので、連続休業3日以内という場合は支給対象外です。


3.支給期間
支給開始の日から起算して、最大1年6ケ月まで支給されます。

4.支給のタイミング
実際に病気で1ケ月程度休んだあとに申請書を提出→審査・支給という流れになりますので、通常給料が支払われるタイミングと比べて、傷病手当金が支給されるのは、かなり遅くなります。給料の2/3が支給されるとはいえ、日々の生活での様々の支払(家賃等)に対しては、準備をしておく必要があります。



保険料の負担

毎月の給料から天引きされている健康保険料と厚生年金保険料は、病気休職中であっても支払う必要があります。
月給30万であれば、
健康保険料   12,270円
厚生年金保険料 23,556円
(協会けんぽ・東京都の場合)
の保険料となります。

病気療養で、医療費増や収入減で生活は大変になりますが、基本的に、在職中と同じ保険料負担が必要になります。



自営業者の場合

国民健康保険には、前述の傷病手当金という制度はありません。ですので、自営業の方が、病気・怪我で働けなくなり収入減となってしまった場合、健康保険から収入の代替としての給付は受けられないことになります。民間の保険等、病気休職中の収入確保について検討しておいた方がよいでしょう。

相談を受けて…

病気療養中の給付や保険料負担について社会保険労務士として相談を受けることは多いのですが、重い病気で長期の療養が必要な場合、収入減も長期間となりますので、在職中と同じ保険料というのは、実際には、かなりの負担感となります。(ちなみに、育児休業中については保険料は免除です。)

健康保険制度の見直しの中で、病気による休職期間中の給付と保険料負担のあり方についても、見直す必要があると思います。

 

無年金者と「カラ期間」VOL.62 2009.7.27

納付+免除+カラ期間

公的年金を受給するには原則25年の加入期間が必要になりますが、無年金扱いとなっていた方の原因の大きな一つが、過去の加入記録が統合されておらず25年に満たないというケース。もう一つの大きな原因は、合算対象期間(通称:カラ期間)を加えていないケースがあります。年金受給資格の25年には、納付+免除+カラ期間で25年以上であればよいのですが、カラ期間について理解されておらず、自分は25年に達していない と思い込み年金の裁定請求をしていないという方が、たくさん存在しているということになります。

カラ期間とは?

現在の年金制度では、20歳以上で国内に居住していれば公的年金に必ず加入することになっています。しかし、以前は「任意加入」に該当する人がいました。「任意」期間、保険料を払ってないから25年に達しないという被保険者を救済する為の期間がカラ期間です。(適用除外者も同様)カラ期間は年金額には反映されませんが、受給資格の25年を判定する際には、カラ期間を加えることができます。

会社員・公務員の配偶者

現在、収入が少ない会社員・公務員の配偶者は、第3号被保険者となりますが、昭和61年3月までは、第3号被保険者という制度はなく、国民年金には「任意加入」でした。昭和36年4月から昭和61年3月までの、会社員・公務員の配偶者であった期間はカラ期間として認められることがあります。

脱退手当金期間

厚生年金には、以前「脱退手当金」という制度があり、脱退手当金を受け取った期間(S36・4月以降)
については、カラ期間となります。数年間会社勤めをして、専業主婦になったというような50代以上の女性に脱退手当金を受け取っている方は多いです。

平成3年3月までの学生

現在は学生であっても20歳以上であれば被保険者となりますが、以前は、学生は任意加入でした。平成3年3月までの学生の期間(20歳以上60歳未満の期間)は、カラ期間となります。

海外在住期間

海外在住期間は、日本の公的年金については任意加入です。(昭和61年以前は適用除外)20歳以上60歳未満の海外在住期間はカラ期間となります。

国は「把握」していない!

現在、国ではねんきん特別便・定期便等で、過去の年金加入記録を確認しているところです。しかし、実は、このカラ期間、国で記録しているものではありません。国が把握しているのは、あくまで「加入(納付)」と「免除」の期間。ですので、納付+免除で25年には満たないが、カラ期間を加えたら25年に達するというケースでは、国は「受給期間を満たしてますよ!」と教えてはくれません。(裁定請求の用紙が送られてきません)。カラ期間については、自分で確認して、25年を満たしていれば、自分で裁定請求の用紙を取り寄せ手続する必要があります。

加入資格を満たしているのに無年金扱いとなっている方が多く存在しているのは、カラ期間について国が把握しておらず、かつ、カラ期間について周知もされていないことに大きな原因があります。
将来に向けては「わかりやすい年金制度」をつくる、過去の年金記録問題については、「よりわかりやすい説明」をするという対応が国に求められていると考えます。

 
「賃金」のルール VOL58 2009.5.25

賃金支払い5原則
労働基準法24条に賃金支払いについての原則が定められています。
1. 通貨払い
賃金は「通貨」で支払う必要があります。自社商品などの現物支給は原則、認められません。銀行振込をする場合は、労働者個人の同意が必要で、通勤定期券を現物支給する場合も、労使協定が必要です。
2. 直接払い
賃金は直接、労働者に支払う必要があります。家族や代理人に支払うことは認められません。
3. 全額払い
賃金は全額支払う必要があり、控除できるのは、税・社会保険料と労使協定で認められた控除金(労働組合費、社宅賃料等)のみです。また、給料の一部を支払わない、また、残業をしているのに残業代を支払わないのは、給料の全額払いの原則に反することになります。
4. 毎月1回以上払い
5. 一定期日払い
賃金は毎月1回以上、一定の期日に支払う必要があります。

賃金未払いの場合
先の5原則に照らし合わせて、賃金未払いとなる場合は、労働基準法24条違反となり、労働基準監督署の指導に従わない場合は、送検・逮捕されることもあります。
また、賃金の支払いが遅れた場合は、利息を払う必要があり、会社在籍の場合は、所定の支払日の翌日から年6%(非営利法人の場合5%)、会社を退職後は年14.6%の利息となります。
回収するには
賃金未払いが発生した場合、現実的には労働者側から行動を起こさなければ回収できないケースが多いです。一般的に、以下のような流れで、回収を進めます。
1. 口頭にて請求
2. 文書(内容証明)にて請求
3. 労働基準監督署へ申告
出勤簿やタイムカードの写し、給料明細、雇用契約書、就業規則など勤務と給料の実態を証明できるものを持参する必要があります。
4. 支払督促(簡易裁判所)
5. 訴訟(小額訴訟など)

尚、給料の請求権の時効は2年(退職金は5年)となります。
※一般債権より時間が短いので注意

雇用保険の扱い
給料の未払い、遅配を理由で退職した場合、自分から退職を申し出ても、会社都合退職と同等の扱いになり、失業給付が自己都合退職と比べ有利になります。退職する際には、必ず離職票を確認ください。

倒産の場合
勤務先が倒産してしまった場合は、国の「未払い賃金立替払」の制度を利用することもできます。
条件は以下の通りです。
・1年以上事業を継続している事業所(個人・法人問わず)に労働者として雇用されていること
・倒産に伴い退職(※)し、1万円以上の未払い賃金があること。
※破産手続開始申立日又は倒産の事実についての認定申請日前6ケ月から2年以内に退職
事実上の倒産でも利用できますが、中小企業のみとなります。
立替払いされるのは未払賃金の8割で年齢により上限があります。
45歳以上 296万円
30歳~44歳 176万円
30歳未満 88万円
※窓口は労働基準監督署です
・・・・・・・・・・・・
■三鷹市議会6月定例会■
6月3日(水)~23日(火)
浦野英樹一般質問予定
6月4日(木)午後3時~6時頃

「ねんきん定期便」の概要 VOL56 2009.4.27

ねんきん特別便との違い
昨年送付された「ねんきん特別便」(以下、特別便)は、表示がわかりにくいことに加え、過去の記録を正確に確認する為に必要な情報が記載されていないという問題点がありました。4月から送付の「ねんきん定期便」(以下、定期便)には、特別便には記載されていなかった

■厚生年金期間の月毎の標準報酬月額、賞与額、保険料納付額
■国民年金期間の月毎の保険料納付状況

が表示されています。「消された年金」のように、厚生年金加入期間の報酬が改ざんされていたり、国民年金の保険料を払っていたのに未納になっていた事例は、定期便でチェックすることが可能になります。

送付時期
定期便が送付されるのは、毎年の誕生月です(1日生まれの方は誕生月の前月)。誕生月を過ぎても送付されてこない場合は、住所が間違って登録されている可能性があるので、右記ねんきん定期便専用ダイヤルに問い合わせてみてください。
旧: 1年以上雇用の見込み
新: 6ケ月以上雇用の見込み
となりました。派遣労働者など有期契約の労働者は、景気悪化で契約が更新されない事態となっても、そもそも被保険者になっていないので失業保険が受けられないという問題が起きていますが、失業手当を受給できる労働者の範囲が拡大することになります。

水色とオレンジ色
定期便の送付に当たっては、水色とオレンジ色2種類の封筒が使われます。オレンジ色の封筒で送付される方は、社会保険庁で何らかの記録の間違いがあると推測された方か、昨年、特別便の返信をしていない方です。それ以外の方は水色の封筒になります。しかし、昨年の特別便の記載では問題ないように見えても、詳細な報酬月額や納付の記録を確認すれば、おかしな部分が発見されるという方は、間違いなく存在します。ですので、封筒の色に関わらず、改めて過去の記録を確認されることをお薦めします。

見込み額
定期便には、年金の見込額も表示されています。

■50歳未満の方
今までの加入実績に応じた年金見込額が表示されています。将来加入し保険料を払う期間は見込額に含まれていません。
■50歳以上の方
現在の加入の状況が60歳まで続くと仮定した場合の年金見込額が表示されています。会社員の方で、将来収入が減少する可能性がある方は、実際の年金額が見込額を下回る可能性があります。

チェックのポイント
■報酬額は正しいか?
厚生年金の標準報酬月額は、いわゆる手取りの金額ではなく、税や社会保険料が控除される前の金額で、さらに通勤手当の額も含まれます。実際の給料額と大きな差異がないか確認する必要があります。
■賞与額の記載はあるか?
平成15年4月以降は、賞与の金額も、将来の年金額に反映されます。平成15年4月以降、賞与が支給されたにもかかわらず、賞与額の記載がない場合は、問い合わせてみる必要があります。(尚、1回の賞与額の上限は150万円になります。)

自己責任の時代?
今までは、過去の年金記録を確認する機会も少なく、手続も煩雑でしたので、仮に年金額が間違っていたとしても「国の責任」であると言えた部分があります。しかし、今後、定期便が定着し、また、年金通帳などの制度ができれば、年金記録の確認において、本人の責任が重くなります。年金は「自分の資産」という認識で、記録を確認し、制度を考える時代になったと言えるでしょう。
・・・・・・・・・・・・
ねんきん定期便 専用ダイヤル
0570-058-555
月~金曜 9時~20時、第2土曜 9時~17時

 
「雇用保険」の基礎知識3 VOL55 2009.4.13

適用範囲の拡大
雇用保険は、従来「1年以上」雇用が見込まれることが適用基準でしたので、1年未満の有期契約労働者の多くは、被保険者になっていませんでした。
今回の改正で、適用基準について見直しがなされ

旧: 1年以上雇用の見込み
新: 6ケ月以上雇用の見込み

となりました。派遣労働者など有期契約の労働者は、景気悪化で契約が更新されない事態となっても、そもそも被保険者になっていないので失業保険が受けられない という問題が起きていますが、失業手当を受給できる労働者の範囲が拡大することになります。

期間満了の離職者対策
契約期間満了で離職状態となった労働者に対して、失業保険を受給する為に必要な被保険者期間が、

旧: 「1年」以上必要
新: 「6ケ月」以上必要

となりました。
また失業保険の給付日数も「解雇」と同様の日数とされることとなりました。
※対象:離職日が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの方
正確には「所得38万円以内」が基準です。パートやアルバイトのような給与所得者の場合、
収入-給与所得控除が所得となりますが、年収161万9千円未満の場合は給与所得控除は一律65万円ですので、所得を38万円以下に抑えるには

103万円-65万円=38万
ですので、所得税の控除を受けるためには、年収103万円以内である必要があるのです。

尚、自営業者やフリーランスの仕事をしている家族を扶養親族等にするには「収入-必要経費」が38万円以下である必要があります。

年金受給者の場合
年金受給者が死亡した場合は、必ず「未支給年金」というものが発生します。遺族の方は「未支給年金」を請求することができますので、死亡届と合わせて未支給年金についても手続が必要になります。

再就職手当の充実
失業保険を受給中の労働者が、早期に再就職を決め、一定以上の受給可能日数が残っている場合、「再就職手当」という手当が受給できます。従来は、支給残日数が「所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上」残っていることが必要とされていましたが、支給要件が緩和され「支給残日数が所定給付日数の3分の1以上」あれば支給対象となります。
また、再就職手当の金額も増額され、従来は、「失業手当の基本手当日額×支給残日数」の30%の金額でしたが、改正後は、支給残日数に応じて

・3分の2以上である場合 50%
・3分の1以上である場合 40%

と支給率が引き上げられました。

保険料の引き下げ
雇用保険料が引き下げられ、平成21年度に限り、以下の料率になります。

【本人負担】
従来 0.6%
改正後 0.4% 
【会社負担】
従来 0.9%
改正後 0.7%
※建設業は 本人0.5% 会社0.9%

基本的に4月支給の給料から適用となりますので、給料明細を確認してみてください。

育児休業給付の見直し
従来、育児休業給付は
「育児休業基本給付金」
「育児休業職場復帰給付金」
と育児休業期間中と職場復帰後6ケ月経過後と2回に分けて給付されていましたが、今回の改正で2つの給付金が統合され、全て育児休業期間中に給付されることになりました。

旧: 基本給付金 30%
職場復帰給付金 20%

新: 育児休業給付金 50%

育児休業期間は、社会保険料(健康保険、厚生年金)も本人、会社負担どちらもゼロですので、会社が従業員に対して、育児休業を取得させやすい環境がより整備されたと言えます。

多様な働き方に対応を
今回の制度改正の背景ですが、雇用保険制度が「正社員」中心に設計されており、派遣社員や、有期契約社員については、あまり考慮されていなかったことが背景にあります。
雇用保険制度も「正社員」だけではなく、パート・アルバイトも含めた多様な就労形態に対応できる、抜本的な制度の見直しをすべき時期に来ていると考えます。

 
「雇用保険」の基礎知識2 VOL50 2009.2.2

退職したら受け取る書類
会社を退職(解雇)後に、会社から「離職票」という書類が送られてきます。離職票には失業手当の金額を算定する基礎となる給料の金額等が記入されています。だいたい退職後1週間程度で送られてきますが、この離職票がなければ失業手当を受給できませんので、送られてこない場合は、会社に催促をしてみてください。

求職の申込手続
離職票が送られてきたら、「自分の住所」を管轄するハローワークに求職の申込手続に行きます。(会社の住所管轄のハローワークではありません)。持参するものは

・離職票
・雇用保険被保険者証
・運転免許等本人確認書類
・証明写真2枚、印鑑、預金通帳

です。雇用保険被保険者証は入社時に交付する会社と退職時に交付する会社がありますので、会社に確認してみてください。紛失していれば、ハローワークに申し出れば再発行してもらえます。

7日間は「待機期間」
失業手当は、求職の申込手続後すぐに受給できる訳ではなく、手続後「失業している日が通算7日間」あることが必要になります。この7日間を「待機期間」と呼びます。仮に会社都合で解雇されたとしても、この待機期間7日間は失業手当の支給対象日とはなりません。

受給説明会・求職活動
7日間の待機期間が過ぎたら、受給説明会に出席する必要があります。受給説明会で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、第1回目の失業認定日が通知されます。その後に、実際に求職活動を行い、失業認定日にハローワークに行き、失業認定申告書に求職状況を記入して提出します。認定日の約1週間後に最初の失業手当が振り込まれることになります。
失業の認定は、原則4週間に1度行われ、その間にハローワークが行う職業紹介、職業相談を受ける、求人に応募する等の実質的な求職活動を原則最低2回は行うことが、失業手当受給の要件となります。

初回の手当振込まで
実際に失業して、最初の失業手当が振り込まれるのは、離職票が送付されるまでの期間(約7日)+待機期間(7日)+初回の失業認定期間(28日)+振込みまでの期間(約7日)と最短でも1カ月以上かかることになります。自己都合退職の場合は、7日間の待機期間の後に、さらに3ケ月の給付制限の期間がありますので、実際に失業手当を受給するのは退職後4~5月後になってしまいます。
仮に失業手当を受給できるとしても、入金のタイミングは会社在籍時と比べ遅くなりますので、定期的な支払いが多い方は、退職時に何らかの対策を考えておいた方がよいかもしれません。

受給日数と受給期間
失業手当は、被保険者だった期間、離職理由(会社都合か自己都合)、年齢によって受給できる日数が異なりますが、受給できる「期間」は原則1年となります。退職後1年間に所定の給付日数の失業手当の受給が可能ということになります。
病気、出産等の理由で求職活動ができない場合は受給期間延長の申出を行えば、受給期間は最長4年まで延長可能です。

 
「雇用保険」の基礎知識1 VOL48 2009.1.5

失業時の「基本手当」
雇用保険被保険者が離職して失業状態にある時は、基本手当(いわゆる失業手当)を受給できます。金額は、年齢によって若干差がありますが、離職前半年間にもらっていた給料の額の50%~60%程度。(賞与は含まれません。)但し、上限額があり、30歳~44歳の方で、失業1日につき7030円が上限となっています。(月収換算約21万円程度)

自己都合による離職
基本手当の給付日数は、離職の理由によって異なってきます。

■自己都合で離職した場合■

 被保険者であった期間
 10年未満20年未満20年以上
全年齢共通90日120日150日


自己都合による離職の場合は、給付制限期間があり、離職後3ケ月間は、基本手当の受給ができません。また最低1年間は被保険者として働いていることが条件ですので、勤続1年未満の方は受給対象となりません。

会社都合による離職
倒産や解雇等、いわゆる会社の都合で離職を余儀なくされた方については、自己都合の場合と比べて、多い給付日数が設定されています。この場合の「会社都合」には倒産・解雇以外に、以下のような事例も該当します。
・会社から退職するよう言われた
・セクハラ、パワハラがあった
・会社が法令違反を犯したため離職した
・過度な時間外労働があった
・給料の遅配が続いている
上記のようなケースに該当すれば、仮に自分で「辞職届」を書いたとしても、「会社都合」と同様の扱いになることがありますので、会社での離職手続やハローワークでの手続の際に、申し出てみてください。
会社都合による離職の場合は、被保険者として半年間働いていれば、基本的に受給資格はあります。

■会社都合で離職した場合の支給日数■
 被保険者であった期間
 1年未満5年未満10年未満20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日 
30~34歳90日90日180日210日240日
35~44歳90日90日180日240日270日
45~60歳90日180日240日270日330日
60~64歳90日150日180日210日240日

「契約社員」の場合
1年以内の短期契約を更新、3年以上継続して雇用されている労働者が、契約更新されずに離職の場合は「会社都合」と同様の扱いになります。更新が3年未満の場合は、自己都合の給付日数になりますが、3ケ月間の給付制限はありません。

あきらめないで相談を
正社員並みに働いているのだけど会社が雇用保険にいれてくれないというパート・派遣社員の方から相談を受けることがよくあります。仮に被保険者でなくても、必要な要件を満たしていれば(目安:週20時間以上労働で1年以上の継続雇用が見込まれる)、過去に遡って被保険者となり、失業給付を受けることが可能なことがあります。あきらめずにハローワークや社会保険労務士に相談されることをお薦めします。

「もしも」の時の年金1 VOL46 2008.12.1

<未支給年金と遺族年金の概要> 
「もしも」年金を受給されている方や被保険者の方が亡くなってしまった場合、年金についても様々な手続が必要になってきます。必要な手続と遺族が受給できる年金について概略を見てみましょう

手続は「別途」必要 
亡くなった時は、市役所の戸籍の窓口に、亡くなったことを知った日から7日以内に「死亡届」を提出する必要があります。引き続いて、年金に関しては「別途」死亡届を提出する必要があります。窓口は、亡くなった方が第1号被保険者であれば市役所の国民年金の窓口、国民・厚生年金受給者、第2・3号被保険者であった場合は社会保険事務所ですが、年金受給者については、年金の種類によって提出先が変わってくることがあります。戸籍の死亡届を提出される時に、市役所窓口で確認してください。共済年金の方は共済の窓口にも届出が必要です。 

年金受給者の場合 
年金受給者が死亡した場合は、必ず「未支給年金」というものが発生します。遺族の方は「未支給年金」を請求することができますので、死亡届と合わせて未支給年金についても手続が必要になります。 

未支給年金とは 
年金は偶数月に支払われていますが、前月・前々月の分が支払われる形となっています。
例えば12月に支払われた年金は、10月・11月分の年金ということになります。 死亡した場合は、死亡した日が属する月の分まで年金を受け取る権利があります。

例えば、10月20日に死亡した場合、10月分までの年金を受け取ることができます。しかし、10月分の年金が支払われるのは12月になりますので、亡くなった時点では、10月分の年金が「未支給」ということになります。これが未支給年金です。

年金が「後払い」という性質上、年金受給者が亡くなった場合は、必ず「未支給年金」は発生するということは頭にいれておいた方がよいでしょう。

未支給年金を請求できる遺族は、 生計を同じくしていた
1.配偶者 2.子 3.父母 4.祖父母 5.兄弟姉妹 の順となります。

手続は原則、社会保険事務所です。 

遺族への年金 
未支給年金は、死亡者「本人」分の年金ですが、遺族の方へ支給される各種の遺族年金等については、別途受給手続を行う必要があります。

1. 遺族基礎年金
国民年金被保険者、老齢基礎年金を受給されている方が死亡

■対象者:18歳未満の子を持つ妻
 18歳未満の子
■基本額 年792100円
(子の人数により加算あり)

  2. 遺族厚生年金
厚生年金被保険者、老齢厚生年金を受給されている方が死亡
■対象者:1.配偶者・子 2.父母 3.孫 4.祖父母 ※転給なし
■基本額 老齢厚生年金の3/4
※30歳未満の子のない妻は5年間の有期給付

3. 寡婦年金
第1号被保険者で25年以上保険料納付の夫が死亡
■対象者:婚姻10年以上の妻
■基本額 老齢基礎年金の3/4
■期間 60歳から65歳になるまで

4. 死亡一時金
第1号被保険者で3年以上保険料納付した方が死亡
■金額 12万円~32万円(納付年数による)
※他遺族給付との併給不可

各遺族年金の詳細については、後日改めましてレポートさせていただきます。

 
残業のルール VOL45 2008.11.17

<時間外労働割増賃金の基礎知識> 
残業が一定時間を超えたら、残業代の割増率をさらに上げる方向で、国会の議論が進んでいます。一方、残業代の計算について、労働者も会社も認識違いをしていることがよくあります。ポイントを確認してみましょう。

基本は25%割増 
1日8時間を超えて労働させた場合、使用者は25%以上の割増賃金を労働者に支払う必要があります。 

例.基本給 30万円

   月所定労働時間 150時間 何も手当がない場合
   30万÷150=2000円

   が、労働1時間あたりの単価で、残業1時間についての単価は
   2000円×1.25=2500円

となります。さらに夜10時~朝5時までの時間帯については、深夜の割増が別途25%必要になりますので、通常の残業の割増25%と会わせて50%の割増が必要となり、深夜残業単価は3000円となります。 

基礎となる賃金 
給料には、様々な手当がついていることが多いですが、残業代単価を計算する場合に、含めなければならない手当、含めなくてもよい手当があります。実は、手当の扱いについては、認識違いが多くあります。 

諸手当の扱い 
■単価計算に含めなくてもよい
・家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当
■支払い形態による
・ 住宅手当
  住宅手当については、支払い形態によって変わってきます。
例えば、家賃の○%というように、支払う家賃の額に応じて住宅手当が決まる場合は、残業単価の計算に含めなくてOKですが、借家は一律20000円、扶養家族ありの場合は25000円というように、家賃の額と関係なく手当の金額が決まる場合は、残業単価の計算に含める必要があります。
・ 営業手当等(固定の残業手当) ○○手当が残業代の代わり というような認識の会社は多いですが、就業規則や雇用契約等で、○○手当には残業○○時間を含むと明記していない場合は、基本的に残業単価の計算に含めた上で、手当とは別に残業代を支払う必要があります。 

名ばかり管理職 
管理監督者は、残業代支払いの必要はありませんが、経営者と一体と呼べる権限、待遇がなければ、社内では管理職でも、法律上は一般の労働者と同じように残業代を支払う必要があります。目安として
・ 従業員の採用に権限がある
・ 遅刻、早退しても賃金カットなし
・ 残業代を超える役職手当
最低この3つの条件をクリアしなければ、管理監督者には該当しません。一般的に、小売店チェーン企業の「店長」クラスでは管理監督者に該当しないと労働基準監督署に判断されるケースが多いです。 

年俸制社員 
年俸制の社員であっても、管理職・裁量労働でなく、給料の中に残業代が含まれていると明示されていない場合は、残業代は発生します。さらに年俸の支払い方法が、毎月50万円、賞与50万円年2回というようにあらかじめ賞与額が決まっている場合は、残業単価の計算に賞与も含める必要があります。上記例では、50万円を基準に残業単価を計算するのではなく、年俸÷12 の金額をベースに残業単価を算出する必要があります。

 
健康保険の格差 VOL43 2008.10.20

平等に医療を受けられる体制のために何が必要か

10月より中小企業の加入する政府管掌健康保険が「協会けんぽ」という制度に変わりました。当面、保険料や給付内容は変わりませんが、健康保険には他に複数の制度があり、それぞれ保険料や給付内容に差があります。

協会けんぽとは? 
中小企業の会社員は社会保険庁が運営する「政府管掌健康保険」に加入していましたが、10月1日より全国社会保険協会が運営する都道府県毎の「協会けんぽ」へと移行しました。といっても健康保険証はそのまま使えますし、加入や喪失の手続は従来どおり社会保険事務所で行います。但し、任意継続(会社を辞めたあとに継続して加入できる制度)や、各種給付の手続は社会保険事務所ではなく協会けんぽが窓口になります。 

4つの制度 
健康保険は、働き方や年齢によって大きく4つの制度があり、ライフスタイルにより、いずれかの制度に加入することになります。 

  1. 国民健康保険(自営・無職)
  2. 協会健保(中小企業会社員)
  3. 組合健保(大企業会社員)
  4. 後期高齢者(75才以上)
会社員の妻や子供は、被扶養者として協会健保か組合健保に加入することが多いです。 

保険料の格差 
4つの制度は、それぞれ保険料の設定が異なります。

■年間保険料試算
年収450万円会社員
月収30万円×12、賞与45万円×年2回 
専業主婦妻・子1人の場合

国民健康保険(三鷹市)
約 235170円
協会けんぽ
約 184500円
組合健保(関東ITソフトウェア健保)
約 144000円
後期高齢者(東京都)
約 241500円

一般的に、高収入なのは大企業社員が加入する組合健保加入者ですが、保険料は一番割安。一方で、会社を辞めて国民健康保険に加入すると収入減となっても、保険料負担は高くなります。収入が高い人が加入する制度ほど割安、低い人が加入する制度ほど割高な保険料となっているのが現状です。 
特に国民健康保険と後期高齢者医療は、会社の健康保険に加入できない人のセーフティネットとしての役割を果たすべきですが、実際には職域健康保険の劣化した制度となっています。 

給付の格差 
給付内容も組合健保には付加給付という制度があり、他制度より良い条件の給付が受けられます。
■出産育児一時金
・組合健保(関東ITソフトウェア健保)  35万円+11万円 計46万円
・他制度 35万円のみ他に、1月あたりの医療費負担が高額になった場合、組合健保であれば月1.5万円以上の負担は還付(出版健保)など、給付も充実しています。 

健康保険こそ一元化すべき 
一番有利な組合健保ですが、加入企業の業績が悪化して、組合が解散するという例がでてきました。組合が解散すると、協会けんぽに加入となりますが、従業員にしてみれば、業績悪化で給料ダウン、その上、保険料と医療費負担はあがる という踏んだり蹴ったりの状態になります。生きてゆくために最低限必要なセーフティネットである健康保険が、さらに収入格差を拡大している現状は極めて問題であると考えます。年金とあわせて、健康保険も一元化すべきであり、働き方・年齢・ライフスタイルに関係なく平等に医療を受けられる体制をつくるべきはないでしょうか。
 
「消された年金」の背景 VOL42 2008.10.6 

いったい何が問題なのか?
「宙に浮いた」「消えた」に続いて「消された」年金が問題となっています。どういう問題が起きているのか?原因は何なのか?今後どういう対策が必要なのか?考えてみたいと思います。

厚生年金の保険料 
会社員が加入する厚生年金の保険料は、給料(標準報酬月額)によって決まってきます。現在の自己負担割合は報酬月額の7.675%ですが、給料が高ければ、金額に比例して保険料も高くなります。そして、将来年金を受給する際には、過去に支払った保険料に応じた年金を受給することになります。給料が高ければ、年金額もその分高くなります。 

報酬が少ない? 
過去の報酬額については、社会保険庁に問い合わせれば、データを送ってもらえますが、実際には給料40万円で、それに見合う保険料を払っていたのに、記録を見ると報酬が10万円程度になっていた という事例が多数報告されています。当然、将来受給する年金額は少なくなります。そして、社会保険事務所の指示により報酬が少なくされていたという問題が「消された年金」問題です。 

当たり前だった「全喪」 
会社は、厚生年金の保険料を社員から天引きした分と合わせて、社会保険庁に納めなければなりませんが、経営状態が悪い会社は、保険料が払えなくなることがあります。実は、今から3年ほど前まで、保険料を払えない会社に対して、社員全員の厚生年金被保険者資格を喪失させる「全喪」手続を社会保険事務所は「当たり前に」指導していました。そして、多少でも支払い能力がある場合は、過去に遡って報酬を引き下げる手続をさせていた訳です。 

一部の職員の仕業? 
納付率のノルマを上げる為、一部の職員が勝手にやったというような報道がありますが、「当たり前」だった「全喪」に付随して、報酬の引き下げも組織的に行われていたと考えるのが自然ではないでしょうか。報酬を引き下げた場合、差額の保険料が本人に返金されていれば、まだよいのですが、実際には返金されてない例の方が多いようです。

保護されない保険料 
会社員は年金保険料を給料から天引きされていますが、その保険料を会社が全く支払わなかった場合、知らぬ間に減額して支払った場合、実際には、社員は、ほとんどわかりません。社会保険庁の対応も問題ありですが、最大の問題は、支払った保険料が保護されない、年金の支給に結びつかない「年金の仕組み」自体にあると考えます。 

税との徴収一元化を 
税金を払えない会社に、税金を安くする、ゼロにするということはありえない話ですが、年金に関しては、保険料を払えない会社に、保険料をゼロまたは減額するということが行われていたということです。

保険料については、会社に対して差し押さえが可能ですが、順位は、国税・地方税の次。しかし、給料から支払った厚生年金保険料は、老後の為の貴重な財産です。支払った保険料が保護され、確実に給付に結びつく仕組みを早急に整備すべきであり、その為には、民主党が主張する税との徴収一元化を実現する必要があると考えます。

 
ねんきん特別便・傾向と対策 VOL40 2008.9.8

見落としやすいポイント
昨年12月より「ねんきん特別便」が年金受給者、加入者に発送が開始され、10月末にはすべて発送完了の予定となっています。改めて気をつける点について確認したいと思います。

大丈夫と思っていたら? 
自分の年金記録は大丈夫と思っていたら、実は、昔の会社の記録が抜けていた という事例は、私・浦野も多く見てきました。傾向として、 ちょっとでも不確定要素がある情報は「浮いた年金記録」の方に含まれている ことが多いということです。ですので、大丈夫と思っている方も、改めてじっくり「ねんきん特別便」(以下特別便と記載)の記録をチェックする必要があります。 

1.抜けた「職歴」を確認 
特別便には過去の年金加入の履歴が記載されています。もし、●年●月から●年●月まで、▲▲商会という会社に勤めていたのに、特別便に記載がないという場合は、その記録が抜けた状態となっていますので、社会保険庁に問い合わせる必要があります。ただし、どの部分が抜けているのかということは、特別便には明記してありませんので、自分で履歴書のようなものをつくって、特別便の記載と照合してみてください。 

2.国民年金の未納月数 
特別便には、第一号被保険者期間について、国民年金保険料の
1. 納付済月数
2. 免除月数
3. 加入月数
が記載されています。しかし、未納月数については、記載されていません。その場合、以下の方法で未納月数を求めることになります。加入-納付-免除=未納月数非常にわかりにくいですが、未納の有無を確認したい方は計算してみてください。 

より詳しい「年金加入記録」 
特別便には、自分で支払った保険料について、月毎の保険料の未納・支払済みの状況、 会社員期間の報酬額については記載がありません。月ごとの保険料支払い状況や報酬額を確認する場合は、特別便とは別に、別途「年金加入記録」をとりよせる必要があります。右記のねんきん特別便専用ダイヤルに電話して、「より詳しい納付の状況、報酬額を確認したい」と申し出れば送付してもらえます。

封筒の色・配達時期に注意! 
社会保険庁では、年金記録が「間違っている・抜けている可能性」のある対象者から順次特別便を送付しています。また、封筒の色によって間違いがある可能性があるかどうか見分けることが可能です。 

3月までに「青」封筒 
→間違っている・抜けている可能性が極めて高いです。改めて確認・問合せを
4月以降に「緑」封筒 
→社会保険庁では「間違いあり」とは認識されていませんが、改めて確認を 

届いてない場合は? 
10月末になっても特別便が届かない という場合は、社会保険庁に登録されている住所が間違っている可能性があります。その場合は、「ねんきん特別便」が届かない と下記ダイヤルまで、請求ください。

■社会保険庁・問合せ先
ねんきん特別便専用ダイヤル
(ねんきん特別便についての問合せ)
0570-058-555
ねんきんダイヤル(一般の年金相談)
0570-05-1165

 
未納と免除 何が違う? VOL36 2008.7.14

同じ「払わない」状態でもこんなに差が
国民年金・第一号被保険者は毎月14410円の保険料を払う必要がありますが、社会保険庁によれば約4割の被保険者が保険料未納状態とのこと。一方で、国民年金には「免除」の制度があります。「未納」と「免除」何が違うのでしょうか?

「免除」のメリット

■3分の1が受給可能
保険料を払わない「未納」状態であれば。将来年金を受給する時に、未納期間の分は当然年金額に反映されません。しかし「免除」にしておけば、全額免除の場合でも、本来の年金額の3分の1の金額が受給できます。極論すれば、40年間ずっと免除であれば、本年度の場合で年約26万円の年金が受給できることになります。(基礎年金額は792100円)

■免除は「25年」に含まれる
国民年金を受給するには原則25年間保険料を納める必要がありますが、免除期間は「払った期間」とカウントされます。未納25年では年金はゼロですが、免除25年であれば受給できます。

■障害・遺族年金への影響
障害年金、遺族年金を受給するには、過去3分の2以上の期間保険料を納付しているか、直近1年間に滞納がない という保険料の納付条件があります。未納の場合は、納付条件を満たせず障害年金、遺族年金が受給できないケースがでてきます。免除にしておけば、「納付」と同じように扱われるので安心です。

■10年間追納可能
保険料を過去に遡って納付する時、原則2年間しか遡ることはできません。しかし、免除期間中の保険料は10年前まで保険料を追納することが可能です。

「免除」の条件
保険料の免除ですが、誰でも受けられるという訳ではありません。下記の表の通り、所得が一定以下であることが条件です。免除には4種類あり、仮に全額免除を受けられないという場合でも2分の1免除や4分の1免除を受けられるケースがあります。2分の1免除の場合、将来年金を受給する際には、通常の年金額の3分の2の額が受給可能です。

「失業」は所得無関係
免除の基準となる所得は前年のものですが「失業状態」であれば例外で、前年の所得が多くても免除が可能です。申請の際に雇用保険の離職証明書など失業を証明する書類を持参してください。

窓口は市役所
年金保険料の免除申請の窓口は「市役所」となります。(社会保険事務所に行く必要はありません)。ちなみに、所得が少ないからといって自動的に「免除」になる訳ではありません。免除は「自分で申請」する必要があります。もし、保険料を払うのが厳しいという方がいらっしゃいましたら、今すぐ免除手続の検討をお勧めします。

 
育児休業の実際 VOL33 2008.6.2

給付と休暇どうなっているのか?
「子育て支援」策については、国・地方いずれのレベルにおいてもここ数年、拡充されてきています。
働いている方が、実施にいざ!出産・育児となった場合、休暇や給付はどうなっているのでしょうか。

育児休業は「当然の権利」である
中小零細企業の中には、妊娠・出産となった場合には、現実的には会社を辞めざるをえないというケースはまだまだあります。しかし、「育児休業」は法律上認められた権利ですので、社員が育児の為、休業すると申し出た場合は、企業は育児休業を与えなければなりません。
ただし、育児休業を取得するには以下の2つの条件を満たす必要があります。

同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
よって、転職して1年未満の方や、短期間の雇用契約の方は、育児休業の対象外となっています。ただし、短期の雇用契約を繰り返し、実際には期間の定めのない状態となっている方は、勤続1年以上であれば育児休業の対象となることがあります。

期間は原則1年
休業期間は、原則として1人の子につき1回であり、子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。
但し、保育所に入所申込みをしているが、入所できないという場合は1歳6ケ月になるまで休業することができます

休業期間の給料は?
育児休業は権利として休みはとれても、では給料はどうなるのか ということについては特に定めはありません。実際には、よっぽど福利厚生が充実している企業でない限り、育児休業期間は「無給」という企業がほとんどです。
ただし、単なる「休職」では、健康保険・厚生年金の保険料は休職中も支払う必要がありますが、育児休業期間であれば社会保険料の個人負担は免除されます。

雇用保険育児休業給付
休業期間は無給といっても何もない訳ではありません。雇用保険には育児休業した場合に、給料の一定額が給付される「育児休業給付」制度があります。
基本的に休業前給料の30%相当額が給付されます。
但し、雇用保険の被保険者でない という場合は、当然給付を受ける権利はありませんし、休業前の出勤日数が少ない場合は、給付をうけられないケースもあります。(休業開始日の前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上あることが条件)     

格差の再生産?
しっかりとした会社に勤めていて、かつ雇用保険にも加入しているような方は、育児休業制度を利用できる機会もあるのですが、パート・派遣など非正社員で働いていた方は、なかなか育児休業制度を利用できないのが現実です。どのような働き方をしても、等しく育児の為に休業がとれるよう国の仕組みを変えてゆくしかありませんが、それまでは、地域レベルで働きながら子育てできる環境を充実させてゆくしかありません。
 
公的年金 25年の壁 VOL31 2008.5.5

年金空洞化をふせぐ為に
日本の公的年金は、原則25年保険料を払わなければもらえません。25年に足りなければゼロ円。25年間払えそうにない‥ という人にとっては、切実な問題です。

ケース1.今まで年金を全然払ってない
50代以上の方で、今まで年金保険料を全然払っていないという相談を受けることがあります。既に50代以上であれば、25年払おうとすれば、70歳以上となり、年金の任意加入は70歳までですので、これからきちんと保険料を払っても年金をもらえない可能性がでてきます。自営業の方であれば、やはり年金を払った方がよいだろうか?また会社に就職した場合は、会社に相談して雇用形態を変えてもらい、厚生年金に加入しないでよいようにできないか?という相談を受けるケースが多いです。

ケース2 若年者からの相談
25年払わなければもらえないということは、25年保険料を払えば、あとは払わなくても大丈夫ということでもあります。20代の方からは、将来会社に就職したら、払えるようになるので、今は払わなくてよいだろうか?との相談をよく受けます。

障害・遺族年金がもらえない!
このような相談を受けた時、私は「それでもきちんと払った方がよい」と答えるようにしています。公的年金には老齢年金以外にも、障害状態になった時の障害年金、万が一亡くなった時に遺族に支払われる遺族年金がありますが、保険料を払っていなければ、障害・遺族年金がもらえないケースがでてくるのです。保険料を払っていない人には、老後の年金はもちろん、いま障害状態になったり、家族が遺族となっても何も年金がもらえないというのが現実なのです。

免除制度の活用を
ちなみに、ただ保険料を「未納」していた場合には、障害・遺族年金がもらえないケースがありますが、「免除」をしておけば、基本的に大丈夫です。第一号被保険者の免除の窓口は「市役所」ですので、保険料を払うのが厳しいという方は是非、早急に免除の相談・手続をされることをお勧めします。

年金空洞化を防ぐために
保険料は払った方がよいし、無理なら免除を と私は答えるものの、それでも「25年」の壁が、年金がもらえないかも という年金不信を増幅させているのはまぎれもない事実であると実感しています。年金記録問題も緊急を要する問題ですが、「25年」問題も期間の短縮など早急に検討されるべき問題であると考えます。そして、全国民がきちんと年金をもらえるような制度につくりかえてゆくべきだと思います。

 
アルバイト・パートの労働 VOL30 2008.4.21

正社員とアルバイト・パート 何が同じで何が違うのか
日本では全労働者の3分の1がアルバイト・パート等の非正規雇用労働者です。4月には、改正パートタイム労働法が施行され、より労働条件の明確化が義務化されました。一方、正社員とパート・アルバイトはどう労働条件等が異なるのかということが知られていない一面があります。

有給休暇は?
アルバイトは有給休暇はないと思っている方は多いと思いますし、実際にアルバイトには有給はない企業も多いです。しかし、アルバイトにも、有給休暇を与えることが労働基準法において定められています。正社員の場合、勤務開始後半年で10日間の有給の権利が発生しますが、アルバイトも同様、勤務開始後半年で有給の権利が発生します。労働時間が正社員とあまり変わらない場合、日数も同じ10日です。ただし、以下の場合は日数が少なくなります。

■週所定労働日数が4日以下 かつ1週間の労働時間が30時間以下
    → 10日÷5.2×週所定労働日数
■週4日勤務の場合の有給日数は   10日÷5.2×4=7.69 → 7日となります。

社会保険(健康保険・厚生年金)は?
アルバイト・パートは社会保険に加入していない企業が多いですが、一定の勤務日数・勤務時間があればアルバイトであっても社会保険に加入させる義務が企業にはあります。

■社会保険加入の基準
週労働日数 及び 1日の労働時間が一般社員の3/4以上

例えば、一般社員 週5日、1日8時間労働アルバイト 週4日、1日6時間労働この例では上記条件をクリアしているので、社会保険へ加入させる義務ありです。

夜間・休日の労働相談体制充実を
浦野は駅頭に立ってレポートを配っていますが、駅頭でアルバイトの方から相談を受けることがよくあります。そして、相談を受けるのは夜間や休日であることが多いです。仕事をしている人にとっては、平日昼間の相談窓口では、なかなか相談できないのが現実ではないでしょうか。夜間でも休日でも身近な場所で相談できる体制を求めてまいりたいと思います。

 
後期高齢者医療とは何ぞや2 VOL29 2008.4.7

実は高齢者だけの問題ではない現実
4月1日より75歳以上の方を対象とした後期高齢者医療制度がスタートしました。実はこの新制度、高齢者だけの問題ではない一面があります。

ケース1 親を被扶養者としているケース
会社員が自分の親を「健康保険の被扶養者」としていることがありますが、4月1日以降は75歳以上の親は、会社の健康保険から抜けて、単独で後期高齢者医療制度に加入することになります。今までの保険証は返却して、資格喪失の手続をします。会社の健康保険では、被扶養者については保険料はゼロですが、後期高齢者医療制度では保険料がかかります。ただし、経過措置があります。

■親の年金収入が100万円(子と同居)の場合
・今年4月~9月   保険料ゼロ
・10月~来年3月  保険料月額約300円
・来年4月から1年間 保険料月額約1500円
・平成22年4月~  保険料月額約3000円 

となります。
親の年金収入が少ない場合は、子が保険料を負担するというケースもでてくるでしょう。
※ちなみに、保険料は原則年金から天引きです。 

ケース2 75歳以上の現役会社員の被扶養者
75歳以上で現役で会社で働いていたり、役員をしている人は、今までは会社の健康保険に加入していましたが、4月からは会社の健康保険を抜けて後期高齢者医療制度に加入することになります。

さらに、この75歳以上の現役会社員が、妻や家族を被扶養者としていた場合、後期高齢者医療制度には「被扶養者」の制度はありませんので、被扶養者でなくなります。ということは、他の家族の被扶養者にならない限りは、国民健康保険に加入することになります。

ケース1の場合は、新しい制度には自動的に加入することになるのですが、75歳以上の現役会社員に扶養されている75歳未満の方は、自分で新しい制度に加入の手続をする必要があります。市も該当者の把握ができていないため(制度的に不可能)、市からの連絡はありません。

突然、病気になって病院に行ったとしても昔の保険証は使えません。最悪自費で治療費を払うことになります。75歳以上の現役会社員の被扶養者となっていた方は早急に市役所に行き国民健康保険の加入手続きをしてください。65歳以上の方であれば一定の保険料減免措置があります。(三鷹市独自の減免措置です。他自治体については確認ください。)

 
健康保険の基礎知識2 VOL28 2008.3.17

高額所得者の保険料負担
低所得者や年金生活者の税・社会保険の負担が増えた場合、ニュースになりますが、収入が高い方の負担が増えてもあまりニュースにはなりません。実は、昨年4月に会社員・会社役員等の高額所得者の健康保険料が引き上げられました。

月額保険料上限の引き上げ
会社員の健康保険の保険料は毎月の給料を基準に決められますが、保険料には「上限」が設定されています。昨年4月に上限が引き上げられました。

毎月の給料(標準報酬月額)上限の見直し
上限98万円 → 上限121万円

以前は月給が98万円を超えたら、いくら超えても保険料の額は変わりませんでしたが、昨年4月以降は月給121万円までは、月給が増えれば保険料が増えることになります。政府管掌健康保険の場合、保険料の自己負担率は報酬の4.1%です。給料毎の保険料負担は以下のようになりました。

■月給120万円の場合、毎月の保険料 
昨年3月まで 40180円
昨年4月以降 49610円
毎月の負担が9430円増となります。

■賞与ゼロと仮定 年間保険料自己負担は
昨年3月まで 482160円
昨年4月以降 595320円

賞与の保険料も上限見直し
平成15年に賞与の健康保険料負担が増えましたが、賞与についても保険料にも上限が設定されていました。そして、昨年4月に上限が見直されました。

賞与の保険料基準額(標準賞与額)上限の見直し  
標準賞与額 1月につき200万円→標準賞与額 年間540万円まで

以前は、1回の賞与が200万円を超えた場合は、いくら増えても保険料は定額でしたが、昨年4月からは年間賞与額が540万円までは、金額に応じて保険料を負担することになりました。 

■賞与年2回、各300万円の場合 年間の保険料 
昨年3月まで 164000円
昨年4月以降 221400円

三鷹市の国民健康保険の場合
市の国民健康保険の保険税は年間所得に応じて決まりますが、国民健康保険税にも上限があります。

現在の保険税の上限額 年53万円
※月あたり換算 約44166円
普通、会社員が会社を辞めて国保に加入した場合負担が増えるのですが、収入が高い方は逆転現象が起きています。昨年4月より国保保険料の上限も年56万円まで可能と法改正がされています。三鷹市の国民健康保険の上限額についても見直すべき時期にきていると浦野は考えます。

 
後期高齢者医療とは何ぞや1 VOL26 2008.2.18

4月から大きく変わる高齢者の健康保険
「後期高齢者」という言葉をニュースで見聞きする機会が増えたかと思います。健康保険では、75才以上の方を後期高齢者と呼びますが、4月から後期高齢者の健康保険制度が大きく変わります。

2枚の保険証から1枚に
現在、75才以上の方は通常の健康保険証に加えて老人保健法医療受給者証を持っています。75才以上の方は、各健康保険制度に加入しつつ、病院では「老人保健制度」に基づいて、医療を受けることになりますので、その為に必要な証明書です。一方で、ライフスタイルに応じて、加入している健康保険制度はバラバラですので、加入している健康保険制度の保険証を持っています。高齢者が加入しているのは、ほぼ下記の3パターンです。
・会社の健康保険 (現役で働いている方)
・会社の健康保険の被扶養者(会社員の子に扶養)
・国民健康保険
今までは、病院にかかる時は、どの制度に加入しても、基本的に同じでしたが、保険料を払う時には、加入している制度に基づいて払っていたので、制度が違えば保険料は違っていました。しかし、今年の4月から、75才以上の方は全員「後期高齢者医療制度」加入することになりました。なので、2枚だった保険証が1枚になります。そして、保険料の負担方法が大きく変わり一元化されます。 

どうなる保険料
東京都の場合、保険料の負担は、年額
均等割(1人あたり) 37,800円 (年額) 
所得割 年間の所得額に対して 6.56%
となります。※年収と所得とは異なります
保険料は原則、年金から天引きされます。

■健康保険の被扶養者の場合
75才以上の方は、一律「後期高齢者医療制度」に加入することになりますので、家族の会社の健康保険の被扶養者になっている方は、脱退した上で、後期高齢者医療制度に加入することになります。被扶養者の場合、保険料の負担はゼロですので、4月から新たに保険料の負担が発生することになります。とはいえ、緩和措置として、9月までは保険料の負担ゼロ、10月~来年3月までは均等割9割軽減、所得割負担なし(保険料負担年額1800円程度)とする措置がとられます。来年4月から1年は、所得割負担なし、均等割り5割軽減となります。

■国民健康保険加入者の場合
三鷹市の国民健康保険の現在の保険料(税)は 
所得割(1人あたり) 24,700円(年額) 
  均等割(年間の所得額に応じて) 5.9% 

上記の新しい保険料と比べて見れば一目瞭然ですが、保険料の負担が増えることになります。(※世帯の収入に応じて軽減措置はあります)実は、この後期高齢者医療制度、あとちょっとでスタートする訳ですが、あまり理解されていないというのが現実です。わかりやすい説明を市に求めると同時に、私もわかりやすく伝えてゆきたいと思います。

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実は知らない?健康保険の給付を解説

平成29年8月24日(木)10:00~

別府市:ニューライフプラザ      

平成29年8月31日(木)10:00~ 

大分市:ホルトホール大分       

参加申込 info@urano-office.biz まで